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一日の始まり
それは、真っ暗な闇の中から始まる
誰もが寝静まったであろう、夜中から
そして僕は、ご主人様を起こしにいく
「おはようございます、ご主人様」
返事の代わりに返ってきた、コツコツという冷たい足音
扉からひょこっと顔を出したご主人様は、僕を見て満面の笑みを浮かべた
「おはよう、リアーデ」
「おはようございます」
「今日も、遊ぼうか」
僕はこの、ご主人様の偽りのない笑みが大好きだ
そんなことを言っても、信じてもらえないだろうから口にはしない
だって僕は人形
感情を持たないはずの、人形<モノ>なのだから
「何して遊ぼうかなぁ」
ご主人様の黒いドレスが揺れ、夜という闇に溶け込んだ
まだ幼さの残る表情が、また僕の心を震わせる
ああ、何て美しいんだろう
紅の瞳。紅の唇。白い肌。黒い髪。
月明かりに照らされたご主人様が、僕の思考の全てを塗りつぶしていく
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