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ぽつり、 空から無数の滴が降り注ぎ、コンクリートを真っ黒に濡らしていく。 いきなりの夕立に、慌てて洗濯物を取り入れる。 残念ながら時既に遅く、今夜身に纏い眠りにつくはずだった寝巻きは、水を吸ってズシリと重くなっていた。 寝巻きに触れた瞬間、ぞわりと悪寒が走る。 冷たい。 まだ夏の気配が残っているというのに、濡れた寝巻きは冷たく、只でさえ冷たい私の手を更に冷やしていく。 あの人の手は、暖かかった。
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