おとり

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「掟だか何だか知らないけど、勝手な事をされたら困る。こっちはそいつに仲間を何人も殺されているんだ。それともあんたは、影を踏み台にしたあげく、最後は自分がするべき事を終わらせて満足するつもりなのか?」 「それは……」 和の言葉に、ジュンは言い返す言葉が見つからず口ごもる。 「影のおとりにかかった犯人は影側で処分を決める。光のあんたに権限は無いはずだ」 「……」 和は表情を変えず、しっかりとジュンを見据えてそう言い放った。 ジュンの片手に灯していた炎は力なく消えていき、手を下に降ろす。 シオンがラルパスを連れて行こうと背中を押した時だった。 和がラルパスの前に立ちふさがり、ラルパスを睨みつける。 シオンは足を止め、和がいったいどうするつもりなのか静かに待った。
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