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ジュンは和の言葉を聞いて、止まっていたはずの涙が止めどなく流れ落ちる。
今まで耐えていた気持ちが、一気に膨らんでしまった。
「基地に戻るぞ」
和がそう言うと、皆は表通りに向かって歩き出した。
ジュンだけはその場に残り、壁を背に持たれかかると、涙を止めようとするかのように上を向いた。
裏路地を出ると、和は人影があるのに気がついて一瞬だけ足を止める。
「……来てたんなら、あんたが命令すればよかっただろ」
「残念だが、今来たばかりだ」
和が話しかけると、すぐに返事が返ってきた。
人影の正体は海斗で、皆が出てくるのを待っているかのようだった。
「嘘をつくな」
和はそれだけ言うと、そのまま海斗を横切って歩いて行ってしまった。
海斗は和がもっと反論すると思っていたため、少し拍子抜けする。
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