おとり

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「取りあえず、ホテルに帰ってゆっくり考える事にするよ。他の仲間にも事情を説明しないと……。ただ、ラルパスがすぐに解放されない事を祈るよ」 「そうか」 ジュンの言葉に、海斗は小さく頷いて一言だけ言った。 「今までお世話になりました。海斗さん」 「あぁ、機会があったら、また会おう」 ジュンは丁寧に海斗に会釈すると、海斗の返事を聞いた後、消えるようにその場から居なくなってしまった。 その場に残った海斗の金髪が、風にあおられて揺れる。 「これからが大変だぞ。…和」 誰に言うまでもなく、小さく独り言を呟く。 海斗が立ち去った裏路地は、静寂を取り戻し、闇に紛れて存在を隠した。
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