選択肢

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地下の奥にある牢獄では、ラルパスが鉄格子の中で暇そうにベッドに腰掛けており、掌を上に向けて念じる。 すると掌の上で、空気中の水分が結晶に変わり、雪のように落ちて行った。 「これから、どうするかな……」 ラルパスは小さくぼやくと、手を下ろして小さく息を吐いた。 そうしていると、牢への入り口が開く音がし、誰かが入ってくるのが分かった。 コンビニの袋の音がしたので、ラルパスはいつもの人物が来たのだと思い、よく見もせず声をかけた。 「今日はいつもより遅せーなぁ。腹減って腹減って」 「生きる気満々だな」 ラルパスの台詞に返ってきた言葉が、予想していた声音とは違っていたため、反射的に視線を向ける。
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