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「あ!お前!!」
ラルパスは指を指して叫ぶと、和は表情を変える事なくラルパスの牢の前に歩み寄る。
「あの時、俺を殴った」
「謝る気はない」
ラルパスは頬に手を当ててそう言うと、和は即答で言葉を返す。
「いんや、そんな事は求めちゃいない。ただ、あの一撃で少し目が覚めた気がする」
「覚めて貰わなきゃ困るな」
和はラルパスの言葉に冷たく言い放って、ビニール袋をラルパスに差し出した。
ラルパスはばつが悪そうな表情でビニール袋を受け取る。
「まさか、お前のような子供に説教されるなんて思ってもみなかった」
「まさか、こんな見知らぬおっさんに説教するとは思わなかった」
「うわ、冷てぇな!お前」
喧嘩でもしているのかと思ってしまうような殺伐とした空気の中、和は小さく息を吐くと口を開いた。
「和だ」
和は自分から名乗り、ラルパスは意外そうな表情をする。
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