選択肢

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その頃、シオンが血相を変えて海斗の仕事部屋に入って来た。 「「どうした?」」 そんな様子のシオンを見た海斗とアフラは、声を揃えてシオンに問いかける。 「和君が捕虜と二人きりで話をするって聞かなくて」 「ついに動いたか」 シオンの言葉を聞いて、海斗はやっぱりな、と、勝ち誇ったような笑みを浮かべる。 「そんな悠長なこと…」 「そう、悠長な事言ってられない!」 シオンがそう言うと、海斗が慌てた様子でベッドフォンを耳に付ける。 「それは?」 「こんな事もあろうかと、牢獄に盗聴器をしかけておいた」 「いつの間に……」 アフラが聞くと、海斗がニヤリと笑みを浮かべて答え、機械を操作して波長を会わせようと試みるが、ノイズしか聞こえて来ない。 「……駄目か……処理されてる」 「流石和サン、見逃さないですね」 アフラは感心したように、海斗の悔しそうな表情を眺めていると、海斗はその場から立ち上がり、仕事部屋から出て行く。
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