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3人が淡い期待を抱いた。
『“達司君が”
“達司が”
“僕が”
“知っている世界で
ありますように”』
「この国の名前は…」
2呼吸ほどおいたあと光汰が口を開いた。
「アシルだ」
光汰が静かに、しかしはっきりと言い切った。
「‥ア‥シル?」
「そう。アシル。‥知ってるか?」
達司の小さなつぶやきに光汰がもう一度名前を言い、不安そうに達司に聞いた。
達司は軽くうつむいて、ゆっくりと首を横に振った。
「そっか‥」
光汰もそう言ってうつむいた。
「噂には聞いてたけど、本当にあったんだね」
部屋の中に漂いはじめた暗い空気を打ち破るかのように明るい声で美穂が言った。
「美穂?」
場違いなまでの明るさに光汰が顔をあげた。
「ねぇ、達司君の世界のこと聞かせて」
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