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「あっ、いたいた。おーい、美穂ー、達司いたよー」
「ほんと?今いくー」
少年と同じくらいの背丈の男の子と女の子であった。
2人は少年の方へ笑顔で駆けてきた。
「俺、光汰(こうた)。よろしくな」
光汰は少年の前にきて、笑顔で手をさしだした。
「えっ、うん。よろしく」
少年は戸惑いながら光汰の手を握り、握手をした。
「こっちは妹の美穂(みほ)」
光汰が言った。
「よろしくね。達司君」
明るい声で美穂が少年に言った。
「たつじ?」
少年はキョトンとした顔で光汰と美穂を見ながら言った。
「君の名前だよ。達司って名前だろ?」
「そうなの?」
少年はまだキョトンとしている。そのままの表情で光汰に言った。
「わからないの?」
美穂が不思議そうな表情で少年に聞いた。
「うん」
少年は少しうつむいて答えた。光汰と美穂は顔を見合わせた。
「俺達の家、すぐ近くなんだ。一緒にこない?」
行く方向を指でさし示し光汰が言った。
「うん」
ここがどこなのか、さらには自分の名前すらわからなかった少年は自分の名前を知っていた光汰と美穂の家に行くことにした。
10分もしないうちにその家が見えてきた。
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