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何で言わない
(高杉視点)
── 好きだ
その言葉を聞いたのは、いつ以来だろうか
今では俺から言うのが当たり前になっているように感じる
好き好き大好き好きを繰り返しても彼奴は何も返してくれない
「ヅラ」
「ヅラじゃない」
「好きだ」
いつもこんな風に時間を止めていたらジジイになっちまうぞ
─ こたろう、
素直に言えない俺も
俺なんだろうけど
「…俺も」
小さく頷く、
なんか最近心配だ
好きなんだけど。
嫌いになりそうで
「ヅラ」
「またか、なん‥」
「好きか?」
今までこんなことを聞かなかったのは、自分でも狡いと思ったから
でもそんなこと聞いていられないほど、心配なんだ
小太郎の髪が揺れる。瞬きして顔赤くして、耳までも赤くして、襲いたい
「好きだよ…しん」
「何故いつもは言ってくれない?」
む…と止まるから、優しく髪を撫でてやる
「俺以外に好きな奴いんのか?」
「ちがう!」
いたずらに言ってみたら拒否された、こっちは肯定しかされてねぇっつうの
「お前以外…好きになれるか!!」
俺だってお前以外何も
見えねぇんだよ
(好きよりも何もかも、)
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