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「いただきますっ」
「いただきます」
俺と母さんはテーブルを挟んで向かい合うように座っている。
母さんの元気が良いあいさつに俺は普通の大きさで復唱した。
「ん~。大和また腕上げたわね」
母さんは俺の作った厚焼き卵を一つ食べて言った。
「良い柔らかさだし、甘さの加減もちょうど良い。いつでも婿に出せるわ~」
「ん!?……ケホッ、コホッ!」
今のこのオカンの軽く爆弾発言に味噌汁を飲んでいた俺は盛大にむせてしまった。
「……っはぁ…。い、いきなり何言ってんだよ!話が飛躍し過ぎだっ!」
「炊事洗濯良し。スポーツ万能で運動良し。おまけにクールでちょっとイイ男の子……。わたしが同じ歳ぐらいだったら黙ってないね!」
「やめんかいっ。前にセ・リーグにいた25歳歳上と結婚してた外国人選手と一緒にするな」
知ってる人は知ってる選手です。
知らない人は読売ジャイアンツとヤクルトスワローズの過去の外国人選手のデータを調べてみてください。
「大和はそういう話ないの?高校生なんだから彼女ぐらい作りなさいよ。母さんが高校生の頃は…―――」
「ニュースでも見るか」
俺は母さんの話をキレの良いスライダーのごとく華麗にスルーして側にあるテレビのリモコンを手に取る。
あ、わかりにくい表現ですみません。
まず「スライダー」の説明からします。
「スライダー」はピッチャーの変化球で―――
「―――大和。母さんの話を聞きなさい」
「何だよ。今『スライダー』の説明を読者の皆様にわかりやすく話そうと心の中で話してたのに」
「何でスライダーなの?」
「それは株式会社『俺』のトップシークレットだ」
「変なこと言ってないで母さんの話を聞きなさい」
「はいはい」
そして母さんの過去の恋愛経験談をバントの構えをしてわざとらしく空振りするように聞き流した。
※表現が野球ばかりですみません。
わかりにくいと思う人は身近な野球経験者に尋ねてみてください。
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