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「―――ふぅ~…。良いねぇこの空気」
俺は近くの川の土手を歩いている。
ちなみに周りに人はいないから独り言言っても痛い目で見られない。
「―――おっ、練習やってる」
下の河川敷球場で少年野球の練習が見えた。
この『涼風ドラゴンズ』は、俺が小学生の時在籍していたチームだ。
俺たちの時は県大会ベスト4だった。
今は監督以外のスタッフが変わっちまったから行きづらいからここで見ているとしよう。
―――…と考えた時だった。
「―――や~ま~と~っ!」
「…何で休みの日まで……」
俺は聞き覚えのある……いや、聞き過ぎて飽々して頭が痛むぐらいの声に振り向いた。
「人違いじゃありませんか?坂本 刹那くん」
「あっ、すみません。俺の友達に似てたんで……って、お前だぁっ!」
「ナイスノリツッコミ」
刹那の絶妙なノリツッコミに俺はグーサインで答えた。
コイツは坂本 刹那。
俺の小学生の時からの親友だ。
しかし、中1の夏にコイツはオタクという道に足を踏み入れてしまった。
野球も上手いし顔もジャニーズに負けてないのに……。
「オタク」という要素が格を下げてしまっている可哀想な奴だ。
「…で、何の用だ?」
「我が親友大和くんっ!俺と一緒に遊ぼうじゃ―――」
「断る」
俺は刹那の誘いを言葉が言い終わる前に断った。
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