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『――打ったぁ!ホームラ~ン!!』
最後のゲームで本日3本目のホームラン賞のボードに当てた。
ホームラン賞は1本につき現金2000円だから今日は6000円か。
「お前やっぱり野球やれっ」
時間が終わり戻ると、刹那が開口一番そう言った。
「もう何回も言わせんなよ。無理」
「大和が入ってくれたら即戦力だって!今センターやってる先輩より全然大和の方が動き良いって」
「お前がそう評価してくれるだけでありがたいよ」
俺はそんなんじゃない。
中学時代はたまたま上手く行ったんだ。
2年前、母さんが倒れた時から高校では野球はやらないって決めてた。
母さんを支える。
今はそれだけが俺にできることだから。
「さて、昼飯でも食うかっ」
「よし来たっ。じゃあ何食―――」
「お前の奢りな」
「へ?」
「だから、お前のお・ご・り」
「奢り?何それおいしいの?」
「よーし。それじゃあ、お前の部屋のガ○ダムのプラモその他を破壊して廃品に―――」
「すみませんでした。僕が悪ぅございました。駅前のラーメン店にでも行きましょうやダンナ」
「わかれば良し。その前からホームラン賞の数が3対0だから俺の勝ち。だから自動的にお前の奢り」
「このドS!悪魔!鬼畜!」
「そう褒めるなよ」
「褒めとらんわっ」
その後、あーだこーだ言いながらも刹那はしっかり奢ってくれた。
さすが刹那。俺はお前のそういうところ好きだぜ。
腹を満たして、俺と刹那は各自行動にした。
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