互いの印(菊朝)

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「あ……」       「もうイィんですか?私はまだ足りませんよ、アーサーさん。………いつもならこんなもんじゃないでしょう。だらしないですね、…………だったらもっとイかせてあげますよ」     悪い女に微笑まれた感覚だった。まだ息が上がったアーサーの首筋に舌を這わせる。アーサーの体がビクンと跳ねる。いつの間にかシャツのボタンが外されていてアーサーの胸板を直に菊の細い指が触れる。菊も和服がはだけて白い肩が露になる。   そこには先日自分がつけた痕が残っている。 朦朧としながらゆっくりそこに触れると今日初めて菊がピクッと反応した。アーサーの首筋から唇を離して薄く笑った。   「それは…あなたが私につけた印。あの時の私はあなたのもの。でも今は……」   愛しいもののようにアーサーの首筋を撫でる。   そこには菊にあるのと同じ小さな束縛の印。   「今は…あなたが私のもの、です」     「………………菊」     黒き美しきその人は奴隷にでも向けるような瞳で笑っていた。 そしてふたつの影は重なった。     fin
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