不意打ち(朝菊)

4/6
前へ
/555ページ
次へ
いきなり頬に柔らかいものが降ってきたのだ。 隣で少し悪戯に笑う彼が言った。   「だって、菊、お前の顔があまりにも幸せそうだったから。俺も嬉しくなったんだよ」     こんなとこだけ照れずにさらっと言ってのける。   ずるい。と菊は思った。       「でも、こんな所でするなんて」   「大丈夫だって。この国では誰も変な目で見ないからさ」     「……………もう」   あなたって人は。             いつの間にか市場らしき所を抜けて川に架かる橋に来ていた。菊はその欄干に手をおいて、アーサーは肘をついて川を眺めた。
/555ページ

最初のコメントを投稿しよう!

546人が本棚に入れています
本棚に追加