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ふとアーサーさんと目が合った。彼はもしかしたら気づいているのかもしれません。私がアルフレッドさんにされていることを。
にっこり当たり障りのないように微笑んでみた。
あなたには気づかれたくない、私の汚れなんて。
いつもなら私の笑顔を見れば照れてしまうのに、今日は違った。
哀れむように悲しく笑った。その翠目は泣きそうな色だった。
あぁ、知っていらっしゃるんですね。ごめんなさい。
「菊?何してるんだい?会議はもう終わったよ。さあ、帰ろー!」
「あ……………はい」
ぼんやりしていたらまた嫌な顔が映った。
その笑顔の下を知っている。読めないふりして一番敏感な貴方はいったいいつまで私を束縛するんですか。
「さぁ……俺と一緒に帰ろう」
「はい」
この関係は、いつまで―――…
fin
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