あいつが邪魔(朝菊)

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「……お前はいいよな。毎日あいつの側にいられて………」     くん?     ダメだ。とうとう犬にまで嫉妬しだすから重症だ。     項垂れながらぽちと戯れていると背中に気配を感じた。振り返ってみると、そこには目を細めて俺達を見る菊がいた。 愛おしそうに見つめる目は優しかった。 俺にはなにもかもが久しぶりで懐かしくて堪らなかった。     「菊……?」   「へ?あ、ああ、お茶っ入りましたよ」   なんだか焦って返事をする菊が可愛かった。   ぽちをそこに置いて立ち上がる。部屋まで入ってくるとぽちが足に纏わりついてくる。   「あ?おいぽち、あんまり引っ付くと足踏んづけちまうだろ?」   結局離れる様子もないので仕方なく座って膝の上に乗せてやった。すると素直に大人しくなった。
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