あいつが邪魔(朝菊)

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          「……もう、そんなことだったんですか?」   「へ?」   不意に優しく微笑んだかと思うと、俺の頬に手を伸ばしてきた。 びっくりして固まっていると、細い指が瞳から流れる涙を優しく拭き取った。   「好きにも、いろいろあるじゃないですか。アーサーさんに対する好きと、アルさんに対する好き、は全く似て非なるものですよ」   その目が愛おしく細められた。   「あ」   「ふふ、分かりましたか?」   「///………分からない」   聞き分けのない駄々っ子のようになる俺を、少し困った顔で笑った。   「そんなに言わせたいんですか?……アルさんには友達として好意を持っていますが、それ以上の感情はありません。ですがあなたには……」   「……?」   言いかけた菊はそこで言葉を切って、             ちゅ       唇に触れるだけのキスを落とした。
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