しんゆう(菊+√)

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「むしろ大切な人ほど、そういう心友にはなれないとも思ってます。例えば、あるがき大将のように自分に利益を及ぼした人に対してすぐに『心の友よ~』なんて言うのは私には軽すぎるように聞こえます。むしろ横暴です。そんなに雑な心友は心友でないと思うんです」   こんな風に菊の口から考えを聞くのは珍しいと思った。友達、という存在についてこれ程考えていたことにも正直驚いた。   「ではお前はどう思っているんだ?」   「私は、ルートさんと同じように心から信頼できて何でも話せる友達だと思っています。…………でも、ルートさんやフェリシアーノくんは心友ではありません」   ルートはなんだか心が痛んだ。 確かに仲間であり、友達だと言える存在だ。そこまで親しいと言えるかどうか分からないが、特別親しい、と言われると嬉しいし、そんなでもない、と言われると哀しい気がする。 すると、そんな気持ちを察したかのようにまた優しく話しはじめた。     「心友には何でも話す、そう言いましたよね。どんなことでも。………でも、私の事情で戦争が始まるとなったとき、私はあなた方には何も言わず戦争へ向かうでしょう」   「なんでだ?俺もフェリシアーノもお前が必要なら助けを出すぞ!?」   「はい。………だからです。きっとお二人ならそう言ってくださると思います。しかし、私一人の事情で起こる戦争です。だからあなた方は巻き込みたくない。言ってしまったら絶対に巻き込んで、傷つけてしまう。そうなるくらいなら…!何でも話して心友になってもらうくらいなら私は、心友なんていりません!」   驚いた。ゆったりしたいつもとは違い、こんな熱のこもった発言は初めてかもしれない。   「あぁ、すみません。つい力が……」
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