人の重み(菊+バッシュ)

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「もっと素早く移動だ!!そんなのでは敵に見つかってしまうぞっ!」   「はい!」     穏やかなスイスの高原。 青空の下、今日も特訓をしている。       「……よしっ休憩をとろう!」   「はい」   「さっきからお前は身が入っていないように見えるぞ。銃の腕はそこら辺の奴よりずっと上手いが、何かあったか?」   「ありがとうございます。………ですが私はあまり銃が好きではありません」   家に帰ろうと二人並んで歩く。少し困った顔をする菊の言葉をバッシュは待っていた。       「バッシュさんには、分からないかもしれませんね」   「ああ、いったい何が不満だと言うのだ?」   「……たしかに、銃という画期的な飛び道具が作られ、日本にもそれは伝わり、大変重宝しました」   菊はバッシュに借りている手の中の銃を眺めやった。   「でもやはり私は、刀の方が好きです。いえ、武器に好きとか嫌いとか思うのも間違っているように思うんですが」   「何が気に食わぬと言うのだ」
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