愛の証~前編 (朝菊)

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        アルに見つかったあの日から数日経った。いつまでも晴れない気持ちを抱えながらも気丈に振る舞っていた。      「菊?」   「えっはい」   あの日から何となく避けていたアーサーから声をかけられた。   「最近ろくに話も出来てないな……悪いな」   本当にすまなさそうにしている彼になぜか心が痛んだ。思い切って甘えてしまいたくなる気持ちと、疑って遠慮してしまう気持ちが態度として表れてしまう。     「……そうですね…」   「最近付き合いとかいろいろあって上司がうるさいんだよ」   そうですか…… なんて、曖昧な返事を言っているが正直今は話したくなかった。     一緒にいてつらい。 不満をぶちまけてしまいそうになる。   そんな菊の様子にも気づかずアーサーは喋りつづける。   「でさあ、……今度一緒に……」   あぁ。早くここから抜け出したい。今の私は弱すぎて、あなたの全てを受け入れられないのかもしれません。あなたの仕事の付き合いにも理解してあげられないのですから……       「やあ菊っ!ここにいたのかい?………あーアーサー君も」   菊の肩越しにひょいと現れたその人に、付け足しのように扱われてアーサーが突っ掛かる。でも今日は口げんかは始まらなかった。   「悪いね!君と話に来たんじゃないんだよ。菊!アイス!アイス食べに行かないかい☆さぁアイスアイス~」   「わっ!ちょ、ちょっとアルさんっ」   有無を言わせぬ動作でアーサーから菊をふんだくって行くアル。その手は菊の手を繋いでいた。
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