愛の証~後編 (朝菊)

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やっとの思いで見つけたが迷った。   じっとして指輪を見つめるアーサーがじれったくなってセーシェルは早く行くように背中を押した。 きっとセーシェルには分かったのだ。その指輪が誰からのものか、アーサーが誰を想っているのかも。       意を決してアーサーは走り出した。言わないで後悔するくらいなら、伝えたい。どんなに格好悪くても情けなくても………このまま菊と離れたくはない。                                                         菊は目覚めた。 眩しく照らす気配に意識が戻り、うっすらと瞼を開ける。ずっと暗闇だったので外の世界の光に眩しさを覚えた。暫くして目が馴れて睫毛を起こす。   見覚えのない景色だがあまりの驚かなかった。 そんなことよりも体の怠さの方がよっぽど勝っていたからだ。 ゆっくりと窓の方に視線を移す。夕暮れ時だった。明るく暖かい光は菊に差しかかっていて、眠る前の荒んだ心を溶かすようだった。    (あぁ……)   思い出した。 忘れてたしまえたら楽な現実。         ――もう、アーサーさんには……
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