縁日 (湾子菊)

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夕暮れ近い暖かい時間。 朱に染まりかける此処日本。       湾は菊の家にいた。     先日久しぶりに菊と会って話をしているうちに、もうすぐ菊の所で縁日があると聞いてお邪魔することにしたのだ。     「本田さ~ん!もう楽しそうな子供の声がしますよ」   台所で用事をしていた菊に興奮ぎみに声をかけた。 するとくすくすと笑って、    「そうですね。それにしても楽しそうですね。そんなに行きたいですか?」     「あ……はい///」     そうですか、もうちょっと待ってください、と言って微笑みながら向こうへ行ってしまうのを見ながら湾は真っ赤になっていた。     (……………ホントは違うのになぁ。私は縁日が楽しみなんじゃなくて本田さんと行けることが嬉しいのに……!……もう、本田さんったらまた子供扱いして)       なんて心の中で叫んでいた。     (はぁ~……たまには本田さんより大人っぽくなってみたいな)     湾は無理なお願い事を考えていた。
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