546人が本棚に入れています
本棚に追加
世界会議での事。よく見る光景はアーサーとアルの口論。
毎回異常な白熱ぶりで、会議がまとまったことなんてなかった。
皆あたふたしたり、またか、と呆れたり一様のリアクションもお馴染みだ。
そして、一人遠巻きに見ているフランシスもいつも通り。
「………」
いつも思う。
いや、正確には付き合いだしてから思う。
あの喧嘩がどうも気に入らない。羨ましい。それは兄弟喧嘩というよりむしろ痴話喧嘩のようで。
フランシスには入り込めない仲。口ではあぁ言い合っているが本当はお互い相手のことを心配しあっているのを知っている。アーサーにいたっては、フランシスと飲んでいるにも関わらず酔い潰れて「アル~」と恋しそうな声で泣くこともある。まぁそういう出来事はアルに教えてやるのは癪だから教えてやらないが。
そんな事を考えているうちに無事?会議が終わった。皆が散り散りに帰って行く中、まだ二人だけで言い合っている姿が見えた。
「………」
こんなに悔しく屈辱的な気持ちになったのは初めてじゃないだろうか。
胸につっかえるズキズキが止まなかった。
結局二人の姿をこれ以上見るのが辛くなって会場を後にした。
家に帰ってからソファに深く体を預けた。
フランシスはぼんやり天井を見上げて考えた。
思えばいつも自分が想われる側だった。ツンデレな恋人だけれど可愛い仕草で寄って来ては甘えてくれる。いつも想ってくれている自信があった。当たり前だと思っていた。自分だって想ってる。
でも………
なんでこんなに俺ばっかりヤキモチ………
いつも気持ちの面でアーサーより優位にいた。からかったり冗談言ったりして振り回していたのは自分だったはず、なのに。
「……なんだこれ。俺こっち側じゃなかったのになぁ」
最初のコメントを投稿しよう!