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しばらく続いた後リップ音とともに唇が離れた。
アーサーは思い切り空気を肺に送り込んだ。
「……こういう時のキスは上手くないんだね」
「ふ、ふざ、けんなよ……」
苦しそうに息をするアーサーを見てまたニヤリと笑った。
「やっぱり俺のキスが一番だろ?」
「べ、別にっ///」
「ふ~ん。あっそ。じゃあいいんだ?俺が他の誰かとこ~んな熱いキスしちゃってもさ~」
そこでアーサーはぐっと詰まった。
その反応を見てクスクス笑い出した。
「ははっ!ほんっとにお前は可愛いなぁ。………そんなに取られたくないなら他の奴見てんじゃねぇよ?」
「へ……?」
「お兄さん思わず嫉妬しちゃった」
真剣だった顔が一気に緩む。ただアーサーは目の前で真っ赤になって見つめていた。
酔っているので見上げてくる瞳が潤んでいる。その瞳には自分しか映っていない。ふっと微笑んでやる。
「……大人しくしてりゃあもーっと可愛いげがあんのによ」
「う゛…………………////」
ふと視線を逸らすアーサー。
少しくすんだ金髪がさらさらと流れる。フランシスは掴んでいた手を離し、それを優しく梳いた。愛しむように何度も何度も。
ぽすっ――…
「?」
アーサーがいきなりもたれ掛かってきた。
「……………………フランシス。
好き、だ////」
小さく掠れた声だけれど確かに耳元で聞き取れたのは、フランシスが一番欲しかった言葉。
その瞬間本当に安堵のため息が洩れた。
「やっと言ったな~。……うん知ってる」
「お、お前……は?」
縋るような目をよこす。
こいつを虜にするのは俺だけ――…
「好きなんかじゃねぇよ。
………愛してる」
そう言って、照れながらも嬉しそうにするアーサーを見て、またキスをする。
きつく抱きしめて。
満足感に浸っている。
あぁ、やっぱり俺のが振り回されてんのかなぁ。
Fin
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