君の存在 (波立)

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    嫌だ。会いたい……会いたい会いたい会いたい…!!離れるなんて考えてなかった。辛い、寂しい、寒いんよ。     ごめん。 ごめん、トーリス。   もう我が儘とか言わないから、そばにいて………?           改めて気づくトーリスの存在の大きさ。自分の想い。   こんなにも自分はトーリスに………                 ―――――……       「…………………ん」     うっすらと瞼が開く。 何気なしに手に触れたことでトーリスが目を覚ました。   ゆっくり何度か目を瞬かせて起きて自分を見つめていたフェリクスに瞳を向ける。     フェリクスがにこっと微笑むとわけが分からないという顔をしつつも微笑みかえすトーリス。       今はこんなにも幸せ。 あの時は離ればなれの時間を恨んだ。   でも今では、大切なものを気づかせてくれた時間だったと思うようにしている。       一度失って         初めて気づいたから。         もう迷わないだろう。伝えることを。             「トー。大好きだし!」         「俺もだよ」         二人は抱きしめ合う。       その温もりを当たり前だと思わないで。       大切なものを失わないために、しっかり伝えて、しっかり愛して。     Fin
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