ハートビート(普日)

7/12

546人が本棚に入れています
本棚に追加
/555ページ
「ケセセセ~!悪いがヴェスト、今日は俺様が主催なんだゼ!菊はもらってくからな、飯ができたら呼べ!」       声高らかにそう言うと、まだ暴れる菊を担いだまま奥へ行ってしまった。               「ギルさん。いい加減下ろしてくださいな」   「ダメだ。菊はおじいちゃんだからな!」   「それにしたって、じじいをこんな風に扱うなんて」      と、口には出してみたものの、彼に触れられることに嬉しい思いだった。     そうこうしていると部屋についた。 特に何も飾られていないシンプルな部屋、そこには一人の男性の写真が立てられていた。 前に菊が来た時もここにあったなぁと思い、彼の大切な人に心の中で挨拶した。    「……お前が、アイツとばかり話すからいけないんだ。もっと俺様をたてろ…」   ブーブー言う彼をやはり愛おしく思う菊は、拗ねて開き直りかけた彼の背中にそっともたれかかった。
/555ページ

最初のコメントを投稿しよう!

546人が本棚に入れています
本棚に追加