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一度にたくさんの花火が上がり出した頃―…
「……///」
くいっ
不意に菊が俺の掴んでいた手の裾を引いた。
花火の光で上目遣いの菊が映った。
「わ、私なんかと一緒にいるだけで、それだけで本当にッ、退屈じゃあありませんかッ!?//」
ぐいっと顔が近寄る。
きっと無意識なんだろ?なあ菊―…
たまらずそのまま抱き寄せた。
「お前といたいからここにいる。ホントは、花火もここに来る口実にしたかっただけなんだ。―でも、お前と見れて嬉しい。こういうのは好きなやつと見るもんだろ?」
「あ」
抱きしめた体は少し緊張して、それからことっと肩に頭を預けてきた。
柔らかな黒髪を優しく撫でてやる。
それから少し体を離した。
「ほら、見ようぜ、花火終わっちまう」
「はぃ」
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