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「……アー…サー…さん」
握った手がゆっくり裏返り、弱く握り返してきた。
「あ……………ッ」
また溢れてきた。それは悲しみじゃなく、喜びと愛しさだった。
「あぁ………き、く…!菊ッ!!ごめん……っ俺、俺っ」
泣きじゃくる俺を優しい微笑みが包んでくれる。
「いいんですよ………終わったんですから。あなたが、最後まで私を撃たなかったこと、本当はほっとしたんです」
「え……?」
「私のことを何よりも想ってくれていると、思えたからです」
「あたりまえだ…………
愛してる、菊」
昔の幸せは、またここから始めよう。
fin
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