私の愛する貴方へ(菊耀)

5/7

546人が本棚に入れています
本棚に追加
/555ページ
「……耀さんは、何とお願いしたんですか?」   「我か?我は…………菊がもう一度我のことを“にーに”と呼ぶようにお願いしたあるよ!」   にっこり笑うその姿は昔とちっとも変わらない。愛情を持った笑顔。 自分が変わってしまっても、この人はずっとこんな風に笑いかけてくれるのだろうか。 変わるつもりもない。変わりたくもない。   それでもいつか変わらざるを得ない時がくるだろう。啀<イガ>み合う時が……………         「そんなことを書いたんですか?もっとあったでしょうに………単純な所は“にーに”らしいですね」   「へ?……………!?…いぃぃ今“にーに”って言ったあるかッ!?」     「ええ。言いましたね」   途端大きな目を潤ませて頬を赤くして腕に縋りついてきた。   「菊ぅ~!!大好きあるー!我の大好きな弟ある!……こうなったらずーっと呼んでもらえるように、もっとたくさん書かないとだめある~。菊、短冊ありったけ持ってくるよろしッ」
/555ページ

最初のコメントを投稿しよう!

546人が本棚に入れています
本棚に追加