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「……耀さんは、何とお願いしたんですか?」
「我か?我は…………菊がもう一度我のことを“にーに”と呼ぶようにお願いしたあるよ!」
にっこり笑うその姿は昔とちっとも変わらない。愛情を持った笑顔。
自分が変わってしまっても、この人はずっとこんな風に笑いかけてくれるのだろうか。
変わるつもりもない。変わりたくもない。
それでもいつか変わらざるを得ない時がくるだろう。啀<イガ>み合う時が……………
「そんなことを書いたんですか?もっとあったでしょうに………単純な所は“にーに”らしいですね」
「へ?……………!?…いぃぃ今“にーに”って言ったあるかッ!?」
「ええ。言いましたね」
途端大きな目を潤ませて頬を赤くして腕に縋りついてきた。
「菊ぅ~!!大好きあるー!我の大好きな弟ある!……こうなったらずーっと呼んでもらえるように、もっとたくさん書かないとだめある~。菊、短冊ありったけ持ってくるよろしッ」
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