憧れ(香菊或フラ)

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「菊………………俺は、憧れてる」   「えっ?」   香君が菊を真剣に見つめる。急に話かけられたかと思うと黙ってしまったので首を傾げて続きを待ってみた。   「………」     「…………………………あの」   「ん?」   じーっと見つめ合う形になる二人の雰囲気に耐え兼ねて、菊が沈黙を破った。   「私に…ですか?……また急ではありませんか」   少し困った顔をした菊に香君は無表情にもう一度呟くように言った。   「うん。でも急じゃ、ない。…………ずっと、憧れてた………………東京に。まじで」   目にキラキラを浮かべて菊を見つめる。   「あ…東京ですか。あ、ありがとうございます」   いつまでもキラキラしている香君を見て可愛いらしい、と思いクスクス笑った。   「?……………菊?」
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