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名前は田中空(たなかそら)
父親不明
母親蒸発
空が四歳の時に母親が空の前からいなくなった。父親は韓国人だと言う事は分かっていた。だけど、母は父親の事を何も話してくれなかった。
母親が蒸発してから空は施設にいた。
空五歳の時養子に貰われる
父親:小林剛(こばやしたかし)
母親:小林さち(こばやしさち)
田中空から小林空となった
「空…外は暑いから帽子被ってね」
駆け足で玄関に向かう空にさちの声が響いた。
「はぁ~い」
急いで部屋に戻り帽子を被って空は外にでた。
空が養子になってから、マンション暮らしだった小林夫妻は安い一軒家を探してきて三人で暮らす事を決めた。
空にとって幸せな日々だった。産みの母と暮らしていた時は、食べれない日々や手を出された事もあり、空にとって良い環境と言えるものではなかった。
施設に入ってから更に笑みは消えていた。小林夫妻に引き取られてから、愛情を注がれ少しずつ変わっていった。今では笑顔を見せるまでになった。
「このチョンが…」
何か敵意を感じる言葉が聞こえてきた様に思えて振り返ったら、そこにはおばあさんがいた。
「空行こうぜ」
「あ…うん」
今日は山で蝉取りをする日だった。おばあさんの事はすっかり忘れていた。
「なんか真っ黒になったわねぇ」
さちが空の頭をなでると
「健康的でいいじゃないか」
仕事から帰ってきた剛がいった。
「さぁ…ご飯にしましょう。今日は生姜焼きよ」
「わぁ~い」
どこにでもありそうな家庭の風景だった。ずっと続くと信じていた。
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