7人が本棚に入れています
本棚に追加
中学に入ると、日本は外国人移住者が以前の倍になっていた。そして外国人が参政権を持たせろとニュースで報道されていた。
僕は半分は違う国の人間である。その事実は変わらないけど、仲良くしてくれる友達や親とはずっとこのままでいれたらいいなと思うくらいだった。
今考えると、幸せ過ぎたと思えるくらい幸せな日々だった。
あの頃に戻りたいといつも願ってしまう…
育ての親は結構寛大な人達だった。父親が韓国人と知ったなら、韓国の料理を作ったり、韓国の歴史など教えてくれた。僕は、生まれも育ちも日本だから韓国についてはあまり実感はない。だけど、いつか三人で行こうと言ってくれた。三人で行ける日が楽しみだった。
ある日一つのニュースが流れた。
[人を刺して逃亡した人がいる]
と
事件は僕が住んでいる近くだった。
「母さん、大丈夫かな」
「大丈夫よ。そのうち警察が逮捕してくれるわよ」
「なんだ、空怖いのか?男の子なんだから捕まえてやるくらいでいないといけないぞ」
父はにやりと笑った。
「僕は父さんみたく強くないから」
空はムスッと答えた。
父さんは柔道をやっていた。それなりに強いらしい。僕にもやらさせようとしたけど、僕には相性が悪かったらしく長く続かなかった。その時父さんの血を受け継いでいたら、出来たのだろうかと思った。この時程、僕と父さんは親子ではないのだと痛感した。
最初のコメントを投稿しよう!