二章 プロローグ

3/3
前へ
/92ページ
次へ
+ 「あ?何だって?」 真四角に囲われたスペース。 そこに、数人の人間が集まって床やら壁やら、自由な場所に座っている。 その中で、真っ赤な髪を揺らめかせた人物が声を上げる。 「だから……、七つ目が刀(ハカシ)に渡った。と言っているんだ。」 「……ふぅん。なら、キタルと龍は?消えた?」 「恐らく。」 その二つの名前が出た途端、ザワリ、と空気が揺れる。 それを至極、不愉快そうに受け止めながら、赤い髪の人物は静かに口元に笑みを浮かべた。 「面白いじゃないか。」 「は?」 「……試してやるよ、俺が。」 「お前が?」 「ああ。」 窓際に座っていた赤い髪の人物はゆっくりと立ち上がると、着物の袂を弾く。 その行動に、近くに座っていた幾人かの影が、ビクリ、と震えた。 「殺しても、構わないな?」 「……私は、もう管轄外だ。既に触れる事を拒絶している。」 「なら、話は簡単だ。」 ニィイッと壮絶な笑みを顔に貼り付けて、その人は笑んだ。 「どれだけの力を持っているかは知らないけどな、力を持ったらそれ相応の罰が来る。それを……教えておかないと、な?」 「……あまり、無茶するなよ。お前が居なくなったら困る人間だって居るんだ。」 「どこに。」 『どこに。』そう問うように投げかけられた言葉は、今までの楽しんでいるような雰囲気とは真逆の、酷く冷たい声音だった。 金色の瞳が闇の中に灯った灯りの様に輝いて、ふと、閉じられる。 「今も、鼓動を打っている。まだ……終わっちゃ居ない…っ!!」 「お前…、思い出すのだけは止めておけ。あいつが消したモノは、お前にとってただの苦痛でしかないんだ。」 「……チッ。うるせぇな。分かってるよ、そんな事。」 舌打ちを打って、その人物は窓に向かって手を伸ばした。 「これは……終わりの始まり、だ。」
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

667人が本棚に入れています
本棚に追加