夏の熱気

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それで、何だかんだで…。 地獄のテストを乗り切って、夏休みというパラダイスに乗り込んだ。 で、だ…。 今の俺の問題は、階段下から俺の名前を呼ぶ母さんの声が明らかに怒気を含んでいるって所にある。 母さんお気に入りの波立が怪我してるってだけで、あの人はイライラしてるって言うのに…。 俺、他に何か怒らせるような要素あったっけ? 考えてみるけど、全くもって思いつかない。 「……アキラ。早く行かないと…。」 「あ!!そうだった!!」 下から俺のズボンをくいくい引っ張りながら言う波立にハッとして、俺は部屋から飛び出した。 「あ、アキラ…俺も行く。」 その俺の後に続いて、波立も部屋から出てきた。 「母さーん?なにー?」 ドタダダダッと一気に階段を下りて、母さんが居るキッチンに波立と一緒になだれ込む。 キッチンは母さんの性格なのか、ものすごく簡素だ。 中心にちゃぶ台が置いてあって、その周りに座布団三枚。で、奥の窓際にシンクがある。 あとは……冷蔵庫と祖父様が持ってきたらしいスイカが転がっているだけだ。 その簡素なキッチンのちゃぶ台の前に座って、母さんは俺を夜叉みたいな顔で見つめていた。 「え…?な、何?」 明らかに、女子プロ時代の闘気が漏れ出している母さんに、俺は思わず身構えた。 今までの経験上。 こういう表情をしている時は、ろくな事が無い。 もっとも、俺が……全教科テストで0点出した時くらいだけど。 ……ん? ちょっと待て。 ちょっと、心当たりがある気がする!! 「アキラ…ここに座りなさい。」 「え?ええ?」 「ここに座りなさい!!」 「うぁ!!はい!!」 慌てて座り込むと、母さんはもう一個開いている座布団を波立に差す。
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