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つまり、俺にはこのぶっっっあつい問題集を解くまで、パラダイスをお預けっていう…罰が押し付けられたんだ!!
ショックです…。
折角の夏休みなのに…。
俺は、分かってはいるけれど、その問題集が薄いことを願って封筒を逆さにした。
ドズンッ。
「……うわ。」
「アキラ、これ……百科事典?」
ちゃぶ台に顎をついて、波立はその百科事典……問題集をペラペラと捲った。
「えっと…480ページ。」
「つまり、死神第一章と同じくらいあるんだな!!」
「みたい。」
「………。」
自分で言って落ち込んだ。
祖父様、これは俺に夏休みは不要だって言いたいんですか!?
俺には、家でゴロゴロするという義務があるのに!!
「……アキラ、学園に行けば俺と二人きり?」
「今もそうだろ。」
「うん。」
百科事典……こと、問題集をペラペラと更に捲って、波立はある場所で首を傾げて手を止める。
「…あれ?」
「何か問題でもあったのか?」
「アキラの爺ちゃん、やっぱ孫には甘い。」
「はぁ?」
波立が捲っているページに目線を移して、俺は思わずブッと吹いた。
「パラパラ漫画を完成させなさい。……だってさ。」
「全く……やっぱ、刀(ハカシ)の人間は皆同じね。」
母さんがあきれたように呟いて、俺に目線を送ってきた。
俺然り。
というか、俺が多分あの一族の中で酷いって言いたげな目線で見つめてくる。
「大丈夫!!大丈夫だって!!学園はちゃんと卒業できるし!!」
「そういえば、キタル……一年留年して、最後の年のテスト、既に卒業していた龍に受けさせてたわね。」
「……へぇ…ってえええええ!?」
龍があの学園で命を落としたのって、一体何歳の時なんだよ。
容姿とか、言動とかからして、学園に居るうちに命を落としたものだと思って居た。
でも、父さんを卒業させる、という使命を果たしてから……あの人は逝ったのか。
ある意味、龍らしいけど…その事がどれだけ父さんを、底知れない苦痛に陥れたのか、と考えると胸が痛んだ。
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