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あの時も、紅い液体の入った試験管が関与していた。
父さんと母さんは、部屋にこもりきりで、食事と風呂とトイレぐらいしか部屋を出なかった。
ずっと実験をしていたんだと思う。
そして、事件は起こった。
「あの満月の日、ダントの両親は……」
ペシルが口を止めた。
「分かってる。だから、僕達は新月の日の前後にしかあの試験管を観察していない」
父さんと母さんは、突然の大きな音と煙と共に消えた。父さんと母さんのいた所には、二人の白衣だけが残っていた。
検察側は、あくまでも事故死としている。一瞬にして超高温の何かに焼かれたという、理屈に合わない事を言って。
「僕はどうしても知りたい!……父さんと母さんの白衣は残ってたのか、完全には分かっていない」
「超高温の何かに焼かれて、その……死体がなくなったとするのは分かるけど……」
と、口ごもる。
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