『Ⅰ部』 第1章~僕~

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「白衣だけが残ったのはおかしい」 「たまたま白衣を脱いでいたとかないよな?」 「うん、それはない。前に実験してた所を見せてもらったけど、途中で白衣を脱いだ事は一度もなかった。それに科学者だからね。それくらいはわきまえてるはずだよ」 ”科学者だから”。だったからではない。父さんと母さんはきっと生きてる。生きてるはずだ! 何らかの隠された理由があるんだ。 「俺だって知りたい!俺も小さい頃、ダントと実験とか見させてもらってたし」 「……プププッ!」 吹き出してから、昔を思い出して、腹を抱えて笑った。 「アッハハハハ……!」 「なーに、笑ってんだよ。俺にも教えろ!!」 ペシルが僕を倒して、脇腹をくすぐった。思い出し笑いで腹筋が痛くなってきた所にさらに痛さが加わる。 「ちょっ、やめてよ!……っアハハハハハッ!!」
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