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クリセフが息を呑んだ。
……やっぱり、何か知っている。知っているんだな?
あの紅い試験管について。
「俺達にだって、あの時の事を変だと思う」
「いつまでも秘密にしておいて、何か起きたら困るでしょ?」
知ったかぶりにしか過ぎない。多分、上手く今のうちに聞いた方がいい。再度のチャンスはない。
「もう少しで満月になる」
僕の言葉に応じたように、クリセフが窓の方を見る。太った月が覗いた。
「そこまで気付いたのか」
僕とペシルは顔を見合わせた。やった!と、いう意味で。
一方のクリセフは、目は焦点があっていなかった。どこかを、優しそうな哀しそうな眼差しで見ている。
「話してほしいのか?」
「うん!」
「早く話せよ」
僕もペシルもそろって、ためらいはない。求めていた答えだ。断る理由はない。
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