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ゴミの収集の人に軽く言って、その場を離れた。ひとまず、時計を家に置いて来よう。
さっきも言った通り、ホームレスじゃない。込み入った事情があるんだ。
話すのが、面倒なだけで……。
「よ、ダント」
振り向くと、いとこがいた。ちょっと黒く焼けた肌で、黒と茶色の中間色の髪のいとこ、ペシル・マーヘリン。
「またあさってたのか?そんな事しなくてもいいのに」
僕と年の同じペシルが、ぶっきらぼうに言う。
「別にいいんだ。したいからしてるだけだよ」
僕はいつもそう言ってるけど、どうしても僕と一緒に住みたいらしい。
と、言うのも、僕達の家がかなり近いからだ。学校も同じ。クラスも同じ。名字も同じ、マーヘリンだからだ。
「体に毒だと思うよ?」
僕が一緒に住まないのは理由がある。
これもまた、込み入った事情。
「ダント、母さんだって、きっと大丈夫だ」
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