『Ⅰ部』 第1章~僕~

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ゴミの収集の人に軽く言って、その場を離れた。ひとまず、時計を家に置いて来よう。 さっきも言った通り、ホームレスじゃない。込み入った事情があるんだ。 話すのが、面倒なだけで……。 「よ、ダント」 振り向くと、いとこがいた。ちょっと黒く焼けた肌で、黒と茶色の中間色の髪のいとこ、ペシル・マーヘリン。 「またあさってたのか?そんな事しなくてもいいのに」 僕と年の同じペシルが、ぶっきらぼうに言う。 「別にいいんだ。したいからしてるだけだよ」 僕はいつもそう言ってるけど、どうしても僕と一緒に住みたいらしい。 と、言うのも、僕達の家がかなり近いからだ。学校も同じ。クラスも同じ。名字も同じ、マーヘリンだからだ。 「体に毒だと思うよ?」 僕が一緒に住まないのは理由がある。 これもまた、込み入った事情。 「ダント、母さんだって、きっと大丈夫だ」
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