『Ⅰ部』 第1章~僕~

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「このクリセフ・メイガスレスを笑ったのは、諸君等だよなぁ?ダンティルス・マーヘリン、ペシル・マーヘリン」 「あ……」 声が重なった。 今まさに、話題に出ていた実際の人物だ。 ペシルと僕といとこなんだけど、ちょっと歳が離れている。僕達が十三歳にして、クリセフは二十歳だ。 「クリセフ、やっと帰って来たのか?ダンティルス君は待ちくたびれて、ゴミ捨て場で遊んでいたぜ」 待ちくたびれて、遊んでただなんて、皮肉をかましてる。 「それは、悪かったなぁ。変わりにこの間、フルーツバスケットを送っただろ?」 「あ、あれか。先週、届いたよ」 ポケットにお腹がすいた時の為に、入れたバナナを取り出す。 「金の方は大丈夫か?足りてないなら、多めにやるぞ」 ポケットから財布をだそうとするクリセフを止めた。 「いいよ。今じゃなくて、後で」
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