『Ⅰ部』 第1章~僕~

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「じゃあ、帰るか。ペシル、お前も来い」 「おう!」 久しぶりに三人が揃った。いつもクリセフはいないから。 「相変わらず、ここのシステムは頑丈だな」 僕の家のシステムは確かに頑丈。入るのには、僕かクリセフかペシルの音声認証がいる。それか、ペシルのお父さんを加えた僕達の指紋認証が。 「変えてないだけだよ」 「そうだよな」 ペシルが同意する。 そう。父さんと母さんが死んだあの日から、何もいじっていないんだ。謎の死を遂げたあの日から。 「いつもはダントが一人でいるもんな」 リビングのソファーにどっかりと座るクリセフを睨む。 「そ、そんな恐い顔をするなよ。本当に俺が悪かったって!」 僕とペシルもソファーに座る。 「いつもそうじゃないか」 僕はムスッとする。 クリセフは凄いけど、その分だけ酷い。
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