『Ⅰ部』 第1章~僕~

7/32
前へ
/108ページ
次へ
クリセフは、世界を旅している。旅と言ってもちょっと変わってる。ちょっと……ううん、かなり。 「世界の研究所を回ったり、鉱石がどうのこうのでも構わない」 と腕を組み、足を組む。 「……僕がペシルのお母さんと仲悪いの知ってるんだから、ちゃんと帰って来てよ!」 「クリセフ、もっとダントの気持ちを考えってやれよ?」 ペシルも加勢してくれた。 僕の父さんと母さんが死んだ時の事。ペシルは僕と同じくらい、しっかり覚えていてくれてるんだ。僕が、どれだけ……辛かったか。 「お父さんとお母さん達の事の後でも、配慮してくれてるんだ。……母さんは、どうにもできないから……」 声のトーンが一気に下がる。 ペシルのお母さんは、父さんと母さんが死んだのは、僕のせいだと思ってる。 父さんと母さんは、実験の事故で死んだ。しかも、確実に解明されてないまま、そういう結果にたどり着いた。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加