『Ⅰ部』 第1章~僕~

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今日の月は真ん丸に近かった。明日か明後日には、完全な丸になる。 そろそろ、クリセフに言い出す時期かもしれない……。 「俺は夕食の買い出しに行ってくる。その後夕食を作るから、その間に何かしていろ」 と、クリセフが家を出る。 僕とペシルはクリセフが出るのを確認して、僕の部屋に入った。 月が昇り始めている。 「紅い試験管の事、いつ言うべきだと思う?」 聞かれるのを分かっていたように、ペシルは身構えて黙り込む。ペシル自身も聞きたかったんだろう。 「明日……明後日かな。もう少しで満月になる。あの紅い試験管に変化が起きる日に」 「うん。そういう考えに行き着くよね」 カーテンの掛かってない窓の外を見る。窓が開いていて、時折涼しい風が体を冷やす。 「綺麗……」 父さんと母さんが死んだ日は満月だった。しっかりと覚えてる。
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