†表裏いったい?

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  光には影 太陽には月 天才には馬鹿 この世全ては 表裏一体 こつん、と 存在なんて 絵空事なんだ それはぼくが生まれる ずっと前から 決まってたことで それはきみが生まれる ずっと前から 神様が決めたことで だれもが知ってる ことで だれもが守ってきた ことで それは、まさに 揺るぎはしない、 ヒビわれもしない、 世界一の鋼鉄で 叩いた鎖 ここで浮かぶ、 ふと疑問 だとしたら。 だとしたら。 ぼくの幸せの 裏には 何がある? きみの眉間の しわの裏には 何がある? ぼくの周りが急に 光で満ちたのは 何故? きみの周りが急に 近くになったのは 何故? 小さなポケットの中で 何日何日 考えても 考えてみても てんでわからない ぼくには わからないんだ だれに問うても 曖昧な返事が 返ってくる だれに問うても 柔らかく腑抜けた 笑みが返ってくる だからぼくは まっさらな 赤子の フリを演じるだけ だからぼくは 知らないフリをして 首をかしげるだけ 窓の外に答えを 求めても 神様は笑っては くれない いや、きっと 微笑んでいるのだろう でも こんな汚れたガラス 越しじゃあ 貴方の顔さえ 望めない きっと答えなんて だれもが 知ってるんだろう ただその答えが あまりにも 綺麗で脆いから その答えの後ろの 荘厳な眩しさに 気づいてしまったから 言えないだけ みんなみんな 優しいから 優しいから 言えないだけ 聞いてしまえば 答えてしまえば 全て崩れてしまうから ガラス窓の向こうの 白くて真っ黒な 世界の番人だから もう一度窓の外を 見上げてみる 今日は曇りだ 太陽は 見えないから 少しだけ ぼくは刃向かう ことにする 問うてみる ことにする ――ねえ神様。 みんなで幸せに なるためには どうすれば いいのですか―― 白いシルクに 青のインクで 少しだけ落書き してみる 落書きだから だれも気付かない のだろうけど 紙飛行機にして 飛ばしてみる 一陣の風は どこまで飛ばして くれるのだろう できれば遠くに できれば人の目に つかないところに 白のシルクを 紙にのせて 想いだけの浪漫飛行 そして ぼくはまた 闇に身を委ねて 目を閉じる 堕ちていく きみの声を 子守唄にして 今日も眠る
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