その夜

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  「オイ、泰介。てめぇ何やってんだ。」 「!!」 泰介くんとソファーの隙間から、眉間にシワを寄せた俊ちゃんが見えた。 あたしたちを見下ろす俊ちゃん。 見られちゃった……。 「なんでもないよ、お兄ちゃん。倒れちゃっただけ(笑)」 「あ?ふざけんなハゲ。」 「だからハゲてないって。夕妃ちゃん、大丈夫?」 「う、うん。」 泰介くんに背中を支えられて、あたしは起き上がった。 わ…わけわかんないよ…。 俊ちゃんはあたしたちに舌打ちをすると、イスに座り、再び食事をはじめた。 「…クスッ」 「??」 泰介くんは何やら笑っている。 「ね?」 「え?何が?」 「(笑)なんでもないよ。はは。」 泰介くんがわからなかった。一体、何がしたかったの? 泰介くんって、謎だなぁ。 (お兄ちゃん、単純すぎ。) 泰介くんはまだ笑っていた。
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