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ポチャッ スイーッ
スイーッ
泳ぐというより、歩く俊ちゃん。
ずんずん歩いていく。
「ねぇ!ど…、どこまで……プハッ…行くの!?」
「………。」
無視!?
そろそろ足つかないしっ。
155cmってやっぱやだ!!
「ね…ブクブク…プハッ」
「…ったく、チビだな。」
「え、ちょ…っ、きゃっ!」
ザバァッ
俊ちゃんに持ち上げられたあたし。
抱っこされてる状態。
俊ちゃんの肩に腕を置き、首の後ろで手を組む。
夕日に照らされた俊ちゃんが、怖いくらいかっこいい。
俊ちゃんは眩しそうに目を細めてあたしを見上げる。
あたしも俯き、俊ちゃんを見つめる。
水滴がキラキラ、宝石のように輝いていた。
時間が止まればいいのに。
このまま一緒にいたい。
離れたくないよ。
「離れんなって約束…、ちゃんと守れよ。」
「…俊ちゃんこそ。」
「わりーな。」
「ううん。」
心臓の鼓動が尋常じゃないくらい響いている。
俊ちゃんに聞こえてませんように。
あたしから視線を反らし、あたしの胸を見つめる俊ちゃん。
「なにみて…」
「なにこのキスマーク。」
あ、純也がつけたやつ…!!
やば、忘れてた…!!
やだ…、やだ…。
見られたくなかったよ…。
「や、これは…違っ…、んんっ」
あたしの胸に顔を埋める俊ちゃん。
「やあ…っ…ダメ…っ…んんっ」
胸に柔らかい痛みを感じた。
ゆっくり顔を離す俊ちゃん。
「宣戦布告(笑)」
「……え?」
胸元に新しくキスマークがつけられていた。
俊ちゃんがつけたキスマーク。
熱い。ドキドキしてる。
「なんの宣戦布告?」
「秘密(笑)」
俊ちゃんは意地悪そうに笑った。
俊ちゃんと一緒にいたい。
誰のものでもない、あたしのものにしたい。
独り占めしたいの。
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