僕と悪魔と空の飛びかた

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━望み足りぬ満ち足りぬ━ 僕は飛んだ。 部屋の窓から、庭のクスノキへ。 「足りないな。少年。」 不様に地面に転がる僕を、悪魔が笑った。 「どうすればいいの?」 僕の質問への答えは短かった。 「渇望しろ。少年。」 悪魔が空に消える。 切なく響く背中の痛みが、僕を何度も殴り付けた。 「僕は飛ぶ。」 伸ばした手で、クスノキの枝から覗く空を掴む。 また悪魔が笑った。 気がした。
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