1人が本棚に入れています
本棚に追加
━突き飛ばされた譫言━
「空を、空を飛ぼうよ。」
堕ちたままの格好で、悪魔が空へ手を伸ばす。
まるで譫言。
「飛ぼうよ。飛ぼうよ。」
僕は悪魔の手をとった。
「僕と歩く?堕ちたままでいる?」
悪魔はとたんに黙る。
何分?何秒?
無意味な時間が過ぎる。
「じゃあ堕ちていればいい。」
僕は手を放した。
悪魔の顔が絶望色に染まりゆく。
「嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ。堕ちるのは嫌だ。」
悪魔が必死に首を振る。
そして生まれる征服欲。
「僕と歩くかい?」
答えなんて決まってるだろう。
最初のコメントを投稿しよう!